気ままなモノづくり日記

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洗浄設備の冷却水の水漏れ疑惑(原因分析) 220626

洗浄設備の冷却水の水漏れ疑惑 220626

不具合状況 槽に水が溜まってます

とある洗浄設備にて薬液の濃度が管理基準よりも早期に劣化してしまうというトラブルが発生しており、洗浄層内の冷却水循環配管からの水漏れが原因かと疑われるので配管を修正してほしいという依頼を同じくタイの工場に赴任されている日本人の工程管理者の方から頂きました。ある薬液濃度を50%以上にキープしないと洗浄時に不純物が発生してしまい製品の品位を損ねてしまうのですが、国内の工程と同条件で運転しているにも関わらず標準ライフタイム以下で薬液濃度が基準値を下回ってしまうとのことでした。

 

工程管理者からの報告:「チラーの冷却水がリークして混入を疑っていて、薬液を抜いた状態で長時間放置していたところ、底に液体が溜まっていました。おそらくチラーの継手のところから漏れた冷却水かと思います。」

現場確認

薬液を抜いた後の洗浄槽の底を確認しましたが、工程管理者の方の言われるとおり水がたまっておりました。水漏れの有無を確認するために、チラーで冷却水を一晩中循環させた状態で放置されたとのことでした。冷却水の温度は12℃の設定となっていました。

原因分析 本当に水漏れしているのか

これを見た瞬間、最初に疑ったのが本当に水漏れが発生したの??ってことです。冷却パイプをよく観察してみると全体的に水滴が付着していたことから、これは冷却水によって結露して大気中の水分が浴槽の底に溜まっただけなのではと思いました…。特定の部位だけが濡れているのであれば水漏れを疑いますが、これはちょっと怪しいです。とはいえ、自分には水漏れの有無を確かめる手段がありませんでしたので、水槽内の水気を全部ふき取ってもらってからチラーの温度を室温にして2時間ほど冷却水を循環させてもらいました。
2時間後に改めて浴槽内を確認すると、、、、やっぱり水漏れしてないじゃん…。。。

ということで、薬液の濃度が劣化する問題には別の原因がありそうです。

原因分析 真の原因は別にある?

実はこの設備の浴槽の真上には排気ダクトが取り付けられているのですが、排気ダクトのバルブが全開となっておりかなり強い風量で排気がされていました。排気によって装置内に負圧が生じますので揮発性の高い薬液はどんどん大気中に逃げてしまって、今回の問題となった薬液の濃度希釈を引き起こしたのではないかと推測しています。(まだ結果がモニタリングできていませんが、自分は十中八九こちらが真の原因だと感じました。)
工程管理者には、国内と現地の排気ダクトの風量を確認し、暫定処置として排気ダクトのバルブを絞って排気風量を減らした状態で薬液の濃度変化をモニタリングするようにお願いしておきました。

所感 正しい原因分析ができているかが重要

今回の問題の真の原因はまだ突き止められていないものの、配管の水漏れというところは完全に白だということが分かりましたので日本人の技術者であっても原因分析を間違えて対処をしてしまうことがあるんだなと改めて実感しました。事象とメカニズムの関係性を見誤ると今回の例と同じようなミスをしてしまいますので、原因分析をする際は十分に気を付けなければいけません。